さすらう隠居人の日記

旅、俳句、映画、ゴルフなど

どんぐり

先日、散歩をしていると(9/17のブログにも書いたが)パラパラとどんぐりが落ちてきた。日本経済新聞の連載小説を毎日よんでいるが、前回は夏目漱石を書いた伊集院静の「ミチクサ先生」であった。その中で、寺田寅彦の奥さんが若くして亡くなったことも書かれていた。
そんなことが頭に残っていたのか、どんぐりを拾ったときに寺田寅彦の「どんぐり」を思い出し読みたくなった。あらすじは漫画か何かで知っていたが、原作は読んだことがなかったのである。

書店に行くと売っていたので、早速購入した。

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寺田寅彦「どんぐり」灯光舎

寺田寅彦は、「天災は忘れた頃にやってくる。」(本人がこの通り言ったかどうかは知らないが)という言葉が有名な科学者であるが、この本に書かれた「どんぐり」はたった10頁の短編であるものの、心を打たれるものがある。

同じ本に収められている中谷宇吉郎の「『団栗』のことなど」も読むと時代背景や実際のところがよくわかる。「どんぐり」にまつわる次の句も紹介している。

亡き魂と親しむや窓の小夜しぐれ

この本は灯光社の「本のともしび」シリーズの1冊めとのことであり、少し割高な気もするが2冊目以降も期待したい。