さすらう隠居人の日記

旅、俳句、映画、ゴルフなど

文化の日と明治

今日は文化の日である。子供の頃、日本国憲法が公布された日と教えられたが、父親の子供の頃は、明治節といって明治天皇の誕生日を祝していたと聞いた。明治維新に興味を持っていた頃もあり、文化の日には明治天皇の誕生日ということが思い浮かぶ。

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明治天皇(文春より)

明治は近代日本の黎明期であり、日清・日露戦争などいろいろな出来事があるが、私にとっては夏目漱石の存在が大きい。

夏目漱石については、中学に入り「吾輩は猫である」を皮切りに文庫本で出ているものはすべて読んできたが、半藤一利さんの「漱石先生ぞな、もし」など、漱石にかかわる本を読みだしてから、より好きになり興味を深めていった。漱石の俳句が好きになったのもこの時からである。

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半藤一利著「漱石先生ぞな、もし」文藝春秋

私の座右の銘として、
木瓜咲くや漱石拙を守るべく
という漱石の俳句がある。

「拙を守る」とは漱石が最も好んだ言葉であり、終生持ち続けた生き方の根本であると半藤さんは言われている。
世渡りの下手なことを自覚しながら、それを良しとして、あえて節を曲げない愚直な生き方は、私の生き方に通じるものである。
私が今までに尊敬した上司や先輩方もそういう方々が多く、自分も目指してきた。というよりも、そういう生き方しかできなかったが、漱石のこの俳句で自分の生き方を確信した。

今日は、11年前の文化の日に読んだ半藤さんの「漱石・明治・日本の青春」をパラパラと読み返している。

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半藤一利著「漱石・明治・日本の青春」新講社

先日のブログに書いたシェイクスピアでは小田島雄志さん、今回書いた夏目漱石では半藤一利さんに、これらの作家をより深く理解させてもらった。私の人生を豊かにしていただいたかけがえのない人たちである。