さすらう隠居人の日記

旅、俳句、映画、ゴルフなど

芭蕉忌

今日は陰暦十月十二日、芭蕉忌である。
松尾芭蕉は、正保元年(1644年)に伊賀で生まれ、元禄七年(1694年)に大坂御堂筋で亡くなった。

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俳聖殿(伊賀市

(俳聖殿は、松尾芭蕉の生誕300年を記念して、1942年に建てられた。)

俳句は私の広く浅い趣味の一つであるが、俳句との出会いは殆どの人も同じであろうが、
古池や蛙飛び込む水の音
である。小学生の時だと思うが、五七五で季節の言葉(この場合は蛙で春)が入るのが俳句と知ったが、当時は切字のことは理解していなかった。ただし、この句の情景はよくわかり、侘び、寂びを理解させる意味でも、この句が最初に出会う句としてベストなのであろう。
その後、俳句に興味を持ち、この句ができる前は蛙は鳴き声を詠むものであり、飛び込む音を詠んで春の静けさを表現したことは革新的であり、蕉風に開眼した重要な句であることを知った。

中学に入り、おくのほそ道を読んでから松尾芭蕉が好きになり、日本古典文学全集(小学館)の「松尾芭蕉集」を購入した。

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松尾芭蕉集(小学館

日本古典文学全集で購入したのはこの一巻のみである。高校を卒業してからは開くこともなかったが、断捨離時には俳句を作るようになっていたので手元に残し、最近は芭蕉忌の頃にこの中の何篇かを読む習わしになっている。

おくのほそ道にも、
閑かさや岩にしみ入る蝉の声
荒海や佐渡に横たふ天の河
など、よく知られた佳句がある。

余分なことだが、
 〇〇や           名詞  
   上5    中7   下5
が、私の中で最も作りやすい俳句の基本形になっている。

芭蕉はこの時季の季語「初時雨」を使って、
初しぐれ猿も小蓑をほしげ也
旅人と我名よばれん初しぐれ
を詠んでおり、芭蕉忌のことを時雨忌ともいう。

辞世の句ではないが、生涯最後の句は
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
である。

漂泊の詩人の最期にふさわしい句である。