さすらう隠居人の日記

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財務事務次官の文藝春秋への寄稿問題

財務省の矢野事務次官が、文藝春秋11月号に寄稿した。目次を見ると、「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』と記載されている。

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矢野財務事務次官(文春オンラインより)

財政の健全化を議論することが問題ではなく、財務省の事務方のトップがこのような内容を寄稿して世論に問うことが問題なのである。個人的な見解で財務大臣の了解を得ているという話も伝わってきているが、それならば財務大臣にも責任がある。

そもそも矢野氏は事務次官であり、個人的な見解を寄稿する前に財務省の中で議論すべきであるし、矢野氏は事務方のトップとしてそういうことができる立場にある。その上で、財務大臣財務省の見解として、政府や国会に示すべきなのである。10月8日のブログに「日本大学の事件とガバナンス」を書いたが、財務省もガバナンスが効いていない。

極端な例を挙げるが、防衛省の事務方のトップが個人的な見解として、「防衛力強化のために核兵器を持つべきだ」と文藝春秋に寄稿したらどうなるか。そんなことは防衛大臣が必ず止めるはずであると通常は思うが、官僚の個人的な意見として一石投じて反応を見るのも面白いなどと思って、大臣が止めなかったらどうなるか。

官僚を統治するために各省に大臣がいる。今回の問題は事務次官だけにとどまらず、財務大臣にも問題があると思う。