すすき(薄、芒、尾花)
そろそろ秋の七草が見頃を迎える季節である。
秋の七草の歌として、万葉集に山上憶良の
秋の野に咲きたる花を指折り
かき数ふれば七種の花
があり、次の旋頭歌(五七七五七七)が続く。
それぞれ色も形も異なり秋の風情を漂わせるが、私にとってはこの歌でいう尾花(薄)がもっとも身近であり、毎年かならずどこかで白い花穂を見る。暗くなりかけた頃、花穂が風に吹かれてたなびくのを眺めながら、秋の深まりをつよく感じることになる。
いつもの散歩道にも薄は生えている。
中秋の名月の時に撮りたかったが天気が悪く、上の写真はまだ半月の頃である。
薄は夕焼けとも似合いである。
家にも薄が生えており、今年は玄関に飾ってみた。
薄はすぐに指を切るので、冬の枯れた頃に刈る。しかし翌年は必ず復活する。家の敷地内にあると少し厄介な草ではあるが、私のような昭和の枯れ芒にとっては勇気を与えられる草でもある。
最近知ったことであるが、薄は茅(萱、かや)とも呼ばれ、茅葺き屋根(合掌造りなど)にも使われ、実用性の面でも世の役に立っている。