さすらう隠居人の日記

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自社株買い

12月14日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の議員が企業の自社株買いの禁止まで踏み込むべきだという内容の発言をしていた。ニュースで見ただけなので詳しくはわからないが、その主旨の発言だけを聞くと何を馬鹿な質問をしているのかと思わざるを得なかった。

岸田総理がその質問を一蹴すると思いきや、理解を示すような答弁をしたことに驚いてしまった。

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12月14日予算委員会(sankei.comより)

内部留保は自社株買いではなく、従業員の賃上げに使うべきとの考えもあるが、それは個別に判断することであり、短絡的に自社株買いの禁止や規制強化をすべきものではない。

企業はその所有者である株主の利益を考えるのは当然である。株主の利益を考えない企業の持続的な発展はないのである。
今、個人の証券投資の比率が少ない日本は、国策として国民に積立・分散投資による安定的な資産投資を促しており、NISAなどの制度もその一環であり、(少数)株主の裾野は広がってきている。
従業員の利益を考えるのであれば、持ち株会に加入している従業員の株主も多い。
自社株買いにより、株主が潤うということがあれば、特定の大株主だけでなく全体に行きわたるのであるが、そう簡単にできるものでもない。

自社株買いをすれば、企業の自己資本利益率は上がるが自己資本比率は下がり、企業も最も重要な経営判断が求められるところである。そこを早計に禁止とか規制強化というのは危険である。

証券市場は生き馬の目を抜くところであり、不用意な発言は相場の変動を招き、システム売買が拍車をかけることもある。アメリカではトランプ政権発足時に、大統領の発言で株価が異常なほど乱高下した。

岸田政権は同じ轍を踏まないようにしてほしい。